私は基本的にあきらめの悪い性格をしています。それは謎解きの時もいかんなく発揮しているのですが、「もういいや」「てか無理」「つら…」と後半5分でスパッとあきらめた公演があります。
野外のこの時期の雨がいかにつらく、厳しく、悲しいかというのを思い知らされたお話を小説調に書いていきます。
頂上戦争からの脱出
フィールド型
探索 ☆☆☆
謎 ☆☆☆☆
満足度 ☆☆☆☆
参加形態 まるばつ組4人
天気雨
脱出失敗
“この戦争を終わらせろ”
「愛してくれて………ありがとう!!!」
最期にこの言葉を残し、火拳のエースは処刑された。兄を失い愕然とするルフィ。大混乱の戦場の中、ルフィとともにエースを救いに来た海賊であるあなたに、「世界最強の海賊」白ひげが近づいてくる。
「おいお前!アイツを死なすんじゃねェぞ…」
あなたは白ひげと火拳のエースの想いを受け、瀕死のルフィを助け出し、この戦争を止めなくてはならない。しかし、海軍三大将の猛攻があなたの行く先を妨げる。
海賊vs.海軍――世界の歴史を塗りかえる程の大激突!!
あなたは、すべての知恵を結集して、マリンフォード頂上戦争から脱出することが出来るだろうか?
なぞこは携帯電話を見て憂鬱な顔していた。
「8日、雨予報だ」
11月8日。それは頂上戦争からの脱出の開催日である。開催場所は楽天koboスタジアム。そう、屋根のない野球場である。
ところで頂上戦争からの脱出は2015年謎夏の公演。しかし宮城県では11月に行われていた。
「夏じゃねえし」
なぞこはそもそものところで納得がいっていなかった。
なぞこは謎夏はコンプしていない。なぜかというと、どうしても頂上戦争は地元の仲間と、地元の興行でやりたかったからである。
基本ほいほい東京に行くなぞこなのだが、地元で開催があれば、次の公演も来てもらえるように地元にお金を落としたいと思っている。
せめて前売り券を見せればコンプしたことになるなどの措置が欲しかった…そうは思っても、謎夏にこれ以上塩を塗り込むと本当に二度と開催してくれなくなるからこの話はおいておいたほうが良さそうである。
koboスタはこの公演終了後に天然芝になったので、貴重な人工芝体験であった。
(ところでkoboって元気なんだろうか…)
そんなことを思いながらも、野球場のグラウンドに降りるなんて滅多にないので、はじめは
「芝って結構ごつごつしてるんだね!」
「靴にゴムが入るね…」
などとはしゃいでいた。
なぞこはカッパに傘で参上。
張り切っていました。
どうもぉ~ 「ナゾタチオ」でぇすっ。
よろしくお願いいたします。
突然なのですが、本日は私の好きなイベントを発表したいと思います。
ようやく聞けるのですね。
ぜひ、お願いいたします。
かしこまりました。
それでは発表します。
私の好きなイベントは...
ドゥルルルルルルルルルー..ブン!
謎解きです。
なんの?
こんな具合で 雨でハイテンションになったなぞこは、いつもは食い入るように見ているVTRをほとんど見ていなかった。まわりの傘も邪魔だった。
VTRを見ないといけない等、もう何年前からも肝に銘じていたではないか。
ナゾタチオやっている場合ではない。
そうして始まった謎解き60分。なぞこたちは4人、2チームに分かれた。
謎解きが始まると同時に傘はなぞこを守る物ではなく、紙を守る物に大変身をし、彼女たちは傘に守られた解答用紙と向き合っていた。
傘「メタモルフォーゼ!」
冷たい雨の中、人工芝に膝をつき、傘に守られた謎を解く…しかしこの間、冷たさも寒さも何も感じなくなるのだから謎解きとはすごいものである。
比較的早いペースで最後まで行ったものの、ご覧下さい。
まさに雨である。
この何十分を共にした紙。その紙がもうぼろっぼろのぐちゃっちゃのでろっでろになっていた。
「か、紙をください…」
なぞこは何度もスタッフのところにいき紙を貰い、紙を貰いまた雨に打たれ、紙を貰い、雨に打たれた。
「か…紙を……」
息も切れ切れである。
成功者はいた。
パーセントでいえば一桁である。
なぞこは関西から来てイチ抜けで成功していった強者を見て本当に素晴らしいと思った、その「あきらめない心」を。
そう、なぞこたちはわかっていた。「こりゃー失敗したな」と。
でも。
無理。
これを見て欲しい。なぞこはこれであきらめた。
もうひとチームは開始30分位で嫌になって散歩していたという。
楽しい公演だったし、たぶん晴れていれば最後の5分も色々試行錯誤したであろう。
自然には逆らえないが、いまだに天気により非常に残念になった公演を上げるとすれば真っ先に「頂上戦争」となぞこはいうだろう。
しかし彼女は雨の中の公演という貴重な体験ができたのでそれも良しと思っているという。
秋の野外公演で雨だった場合、あきらめない心を強く持つ、それが脱出への一筋の光となるだろうとなぞこは思った。
しかしあきらめて散歩しても誰も責めることはない。なぞこはどんな形でもその公演を楽しんで欲しいと思っている。