半年にわたり日曜の夜をざわつかせた秋元康企画原案のドラマ「あなたの番です」が昨日最終回を迎えました。
以前書いた記事
最終回の前までの超ざっくりとしたあらすじ
前半は「毎週人が死ぬ」。衝撃の衝撃に次ぐ展開に「いったい何がどうなっているのだろうか…!?」と怖いけれども見たい…となり、驚愕の展開で幕を閉じたかに見えたが、最終回ではまさかの主人公の一人菜奈が死ぬ。
そして後半。どんどん明らかになっていくようないかないような中で、状況証拠、AIなどがすべて「黒島沙和」という女性を犯人と示す。彼女は初めから主人公の近くにいて一緒に推理をしていて、後半主人公翔太の相棒になる二階堂の初めて好きになったかわいらしい女性である。
最終回直前、4人にまで絞った犯人。性格を利用しておびき寄せようとホテルで待つ翔太と二階堂。そこで突然翔太は二階堂に襲われたのだった…
犯人(黒幕)は?
先週まで、盛り上がり的には最高潮です。
「二階堂は後半から入ってきたキャラなのでそれが黒幕というのは納得いかぬ」と叩かれていたのですが、たぶんどんな終わり方しても叩かれたんだと思うのです。
黒島双子説
翔太二重人格説
尾野ちゃん怖いから犯人説
など色々ありましたが。
ちなみに私はツイッターで叫んでいましたが、殺された赤池夫妻のおばあちゃんにずっと取り入っている「江藤」という住人の情報がなさすぎるのが気になっていました。
彼が後半にクローズアップされて、犯人という落ちを予想していました。まあ、このまま黒島が犯人だったらつまらないので一発逆転して欲しい、という気持ちですね。
あいつ、ずっとパソコンでGPS見てたのに踊って終わった…。おまえのパソコンなんだったん…。IT起業家なのに音楽視聴用なの…最後にもう一回ダンス見たかった…(??)なんだったん。
で、昨日の最終回
翔太が目を覚ますとベットに寝かされていて、横に黒島が。そして二人の腕には菜奈の死因の塩化カリウムの点滴がつながれています。
現れた二階堂は「ゾウさんですか、キリンさんですか」と菜奈が殺された時と同じ状況でどちらが死ぬかを翔太に選ばせるのですが、翔太が点滴を黒島にぶん投げるのです。
そうするとスッと黒島がよけてそこから40分くらい「私のやったこと」と話し続けるのです。
まあいわゆる「サイコパス」なんでしょうね。殺しが大好き!殺してないと生きていけないの!という感じです。その衝動を抑えきれないので、交換殺人で自分のような人が他にもいないかというのを探っていたのでホワイトボードに推理をまとめていた…ということでした。
そう、
あまりに普通
なんです。
今までの20数回、驚きや戸惑いやワクワクを与えてくれたドラマの落ちがこれかってくらい「普通」。
動機は「殺しが好き」。
今まで20数回の考察推察すべてどうでもよくて「殺しが好き」
ああ、ソウデスカ…
いや、サイコパス、怖いじゃないですか!とお思いの方も多いと思うのですが、このドラマにはもう一人とんでもなく怖い演技してくれたサイコパスがいたのですよ。なので、そうか、またか…と思ってしまったのです…。
サイコパス、便利ですよね。ということでドラマ1つにつき1人にして欲しいものです。
あとは翔太も作中で言っていたのですが、「はじめから主人公の近くにいるいい子が犯人」なのはミステリーあるあるです。某外国の作家はそればっかりしてたから晩年の作品は開いた瞬間から犯人がわかるという親切設計でした(遠い目)
ということで、ここまでたどり着くまでの毎週の積み重なった面白さの盛り上がりのピークで着地が「普通」。
ある意味上手な終わり方だったと思うので、視聴者は期待しすぎたのかもしれません。ここまで黒島の証拠をつんでから違う人というのは少し難しい気もします。
でもそれを期待してしまうくらいのどんでん返しもできるのではないか、という盛り上がりを作っていたのです。このドラマは。
というか黒島でもいいんですよ。
であれば、最後までサイコパスでいてほしかった。「人を殺したい」のならあんなにべらべらしゃべらないで翔太と二階堂のことも殺しにかかって欲しかった。そして「深淵」みたいな表情を見たかった。そうもっと私たちの理解できない感じがあって欲しかったです。
その点は最終回の前の回で翔太を襲った二階堂の顔は100点でした。
あとは黒島が大の男を殺せるくらいムキムキだったとかの設定がないとちょっと納得できないとか、ストーカー内山が便利すぎるとか、病院とかマンションの防犯カメラどうなってんねんとか、医者と看護師の恋愛なんやねん、あれ一番わけわからんしとか、「気づきそう」という理由だけで菜奈殺したのに、尾野ちゃんはあそこまで気が付いていたのに相手にされなかったのはなんでやねん、インディアンのお守りのせいなのか!?とか、そもそも尾野ちゃんクリスマス会(?)カラオケで管理人と超仲良さそうにしてたからその時管理人と誰か付き合ってたと思ってたんだけどとか、だからなんで江藤は赤池のおばあちゃんと仲良いの!とか…。
菜奈に関しては「翔太さんが絶望する顔が見たかった」とかの理由の方がしっくり来たかと思います。でも単純に「殺しが好き」という動機ではそんな演出入れられないんだろうなあとは思うのだけど。
まあ、色々書いているのですが、最終的に黒島しか着地点がなかったと思うのでそれでいいんですけどね。
毎週憂鬱な日曜日の夜が楽しかったし、徐々に見ている人が増えていくのも面白かったです。
まあでも一番困惑しているのは最後に、「あなたの番です」と書かれた紙が車椅子で翔太のもとに届けられて、赤池のおばあちゃんが病院から落ちようとしていたことです。
後に続く作品があるのではないか、などの憶測もあると思うのですが、結局「犯人」は捕まっても事件は終わっていない…いつでも「あなたの番」になる可能性がある、ということなのかなと言いつつ、本当は「やっぱり江藤が黒幕だったんだ…」と思っているのでした。
江藤~!!!